太陽光発電の設置費用はいくら?具体的な内訳や安く抑える方法について解説!
最近、電気料金はウクライナ情勢などさまざまな原因により高騰しています。また、政府はこの冬の電力見通しが予備率下限の3%を下回る予想(東京エリア)であり、危機的状況とも報告しています。こうした状況を受け、私たちも電気料金に関し自衛する必要があります。この状況で、太陽光設備を導入するメリットはあるのでしょうか?
太陽光発電の設置費用の内訳
太陽光発電装置を設置する場合、必要となるのは以下の部材です。価格・費用は年々低下しており、新築の場合の費用は、kW(キロワット)あたり28.6万円(経済産業省資料より。既築の場合は32.7万円)のため、家庭用の平均3kW~5kWで計算すると、85.8万円~143万円(既築の場合98.1万円~163.5万円)と試算できます。
kW単価について
なぜkW単価で比較するかというと、割高・割安を比較することが可能になるからです。kW単価は“太陽光設備合計価格÷発電量(kW数)”で計算します。
部材1:太陽光パネル
太陽光パネルは、太陽光で発電を行う太陽電池の集合体をいいます。費用全体の過半数を占めます。複数の太陽電池をアルミ枠に入れ、一定の大きさに仕上げたものを設置します。パネルに太陽光が当たると発電が起きます。価格は17万円/kW程度です。
部材2:パワーコンディショナー
パワーコンディショナーには、
1.太陽光発電で創った電気を、家庭で使える電気に変換する(具体的には、直流を交流に変換する)
2.太陽光発電システム全体を監視する
上記2つの役割があります。価格は、4万円/kW程度です。
※パワーコンディショナーは、1kW単位で製造・販売しているわけではなく、全体の価格から逆算して単価を算定しています。
部材3:架台(かだい)
架台はパネルを屋根などに固定する台で、太陽光を効率よく受けられるように角度を調節します。発電効率を少しでも向上させるよう、屋根の向き・角度や日照時間を考慮して、架台の選定および設計を行う必要があります。価格は、2万円/kW程度です。
部材4:設置工事
部材ではないのですが、設置の工事費です。価格は5~6万円/kW程度ですが、屋根や住宅の形状により金額は大きく変動します。また後述しますが、パネル設置工法によっても工事費は変動します。
太陽光発電の設置費用が大きく変動する要因
これまで標準的な太陽光設備設置工事費について説明しましたが、条件によっては大きく変動する場合があります。その条件を見ていきます。
屋根の形状が複雑
大きな南向き一枚屋根であれば、工事の手間や部材の配置が簡単で安上りになるのは容易に想像できると思います。逆に、複雑な形状で複数面ある屋根の場合は手間や部材が屋根面の数だけ必要となり、相対的に価格が上がります。
工事に足場が必要
足場の有無が、価格に大きく影響します。一軒家を持っている方は屋根の塗り替えを経験しているかもしれませんが、足場の有無で価格が驚くほど違います。総二階の住宅に太陽光パネルを設置する場合は、足場は必須です。
工法の違いによる価格差
太陽光パネルの設置方法には、アンカー工法(瓦を取り外して、瓦自体に穴をあけてアンカーボルトに架台を取り付ける)、支持瓦工法(瓦を取り外して、支持瓦を取り付けて、そこに金具と架台を取り付ける)、差込金具工法(瓦を取り外して、瓦の隙間から入れて屋根板にビスで固定し、その金具に架台を取り付ける工法)、キャッチ工法(屋根に穴をあけずに金具でキャッチする工法)などがあり、価格もそれぞれ異なります。ただ、ユーザーが工法を選択できるケースは多くありません。
では結局いくらなのか
「理屈は分かったけど、じゃあわが家でやる場合はいくら?」あるいは「電気料金の削減額で、初期投資を回収できるのはいつ?」などの疑問に対しては、「ケースにより異なる」という身もふたもない回答になります。これまで述べたように、屋根の形状や傾き・方角、あるいは地理的条件(雪が降るか)により違ってくるのです。しかし、上記の知識を身につけたうえで業者の見積もりをチェックすれば、なぜ平均価格と異なるのか、という観点で質問でき、ぼられる可能性が低くなります。
太陽光発電の設置費用を安く抑えるためには?
これまで見てきたように、太陽光設備の設置は決して安い買い物ではありません。費用を実質的に安く抑えるための方法を紹介します。
各自治体の太陽光発電補助金を使う
国や都道府県、市町村で、それぞれ太陽光設備設置のための補助金制度を導入しています(申請期限があるので、利用の際にはご注意ください)。お住まいの市町村名を入力すると、該当しそうな補助金のリストが表示されるサイトもあるので、参考にしてください。
太陽光ローン
信販会社など、低利の太陽光専用ローンを扱っているところもあります。個別案件ごとに条件は異なりますが、探してみる価値はあります。また、政策金融公庫も低利の太陽光融資を扱っているのですが、売電が条件になっています。太陽光設備の設置だけの(売電しない)方は注意が必要です。
住宅ローンの借り換え
住宅ローンの残高がかなり残っている場合、太陽光設備費用とあわせ、住宅ローン残高を借り換えするのも一つの方法です。通常、住宅ローンの金利のほうが太陽光ローンの金利より低く設定されているうえ、最近の住宅ローン金利は以前よりまた一段と低下しています。検討の価値はあるでしょう。
まとめ
2022年、東京都が“新築住宅に太陽光パネル設置を義務付ける方針”を固めました。秋以降本格化する見込みですが、現在分かっている情報によると住宅メーカーの義務になるようです。こうした動きに伴い、パネルをはじめ各部材についても、需要増加→価格低下という動きになることは間違いありません。二酸化炭素排出量削減にも貢献できる太陽光設備です。私たちもその動向や価格を慎重に見極めながら、有利な状態で導入していきたいものです。